てぃーだブログ › 命どぅ宝!! › 友人 › 永遠の38歳の友

2015年05月29日

永遠の38歳の友

私には、38歳、志半ばで、天国に旅立った友がいる。


私が医大病院に勤めていた頃、


消化器内科の医者であった彼に出会った。


一見、ぶっきらぼうで、とっつきにくいタイプの彼だったが、


飲み会のメンバーとして顔を合わせると


わりと気さくに話してくれた。


そんな彼をいじるのが好きだった私は、


仕事で会うと、「村ちゃん」 と勝手に愛称を付けて呼んでは いじっていた。


その度に 「村ちゃんと呼ぶのは君くらいだよ」 と苦笑いしていたのを


昨日の事のように覚えていて、


その苦笑いの笑顔こそが、彼を思い出す時の顔になっている。


仕事においては、真面目で几帳面な性格にじみ出ていた。


そんな彼が転勤になってから間もなくした頃、


ガンの末期状態にある事が伝わって来た。


私は、信じられない気持ちで一杯だった。


その顔を見るまでは。。


彼は、大学病院に帰って来て入院治療を受けていたのだが、


見舞いを頑なに断っていた。


その姿を知られたくなかったのだろう。。


が、見舞う事を許可して貰った限られた中に、私も含ませて頂き、


ある日、彼を見舞った。


すると、元々、痩せていた身体が、更に細く弱々しく見えた。


直視できない程、衰弱しており、その姿が痛々しかった。


にも関わらず、私の体を気遣う言葉をかけて来た。


それこそが、彼の強さと優しさなんだと感じ、


大声で泣きたい気持ちになり、それを抑えるのに必死だった。


そして、病室の壁側に目を向けると、


自らの専門分野でもあり、自らが病に侵されていた消化器ガンの専門書が


数多く並んでいた。


それを見て、自分の専門分野である疾患に、


自ら患ってしまったという、彼の無念さや悔しさが伝わって来て、


やりきれない思いが溢れて来た。


彼を見舞ったのは、結局、その日を入れて2日間であった。


あれから、来月の6月9日で、12年になる。


あの時、私は、34歳。


彼より、4つ年下だったが、直ぐにあの頃の彼の年齢を超えてしまった。


村ちゃんは、いつまでも、あの頃の38歳の村ちゃん。


今、天国の村ちゃんに言葉を掛けるとしたら、


私は、村ちゃんが


内科外来にて、やんちゃで厄介がられていた患者さんの、


主治医を引き受け、患者さんときちんと向き合って治療していた


勇敢で正義感溢れる村ちゃんも知っているよ。


そんな村ちゃんの事、ずっと覚えているからね!


このブログ自体がなくなってしまったとしても、


私の記憶の中に大事にとっておくから。。


そして、そして、天国で再会したら、「村ちゃん!!」といじるからね




ということ。


(当時の同窓会会報に掲載されていた村ちゃんの訃報を伝える記事より)
永遠の38歳の友






同じカテゴリー(友人)の記事
苦楽を共にした仲間
苦楽を共にした仲間(2015-05-18 13:42)

気の置けない仲間
気の置けない仲間(2012-12-17 09:34)

年の離れた親友
年の離れた親友(2012-12-01 23:34)


Posted by さとたん at 14:37│Comments(0)友人
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。